1990年生まれ千葉県出身。フリーランスのライター・編集者。とうもろこしと大学いもとものづくりが好き。最近はレーザーカッターを使ったアクセサリーをつくるのが楽しい。
2024.09.26
多忙を極める中、常に高クオリティの商品を提供し続ける人気店の店主たち。日々の疲れをどのように癒し、エネルギーを保っているのでしょうか。そこで今回は、高円寺で多くのラーメンファンに愛される「ラーメン健太」の店主、横尾健太さんを迎えてインタビュー。営業後や定休日をどう過ごしてリフレッシュしているのか、また「ラーメン健太」が人気店になるまでのサクセスストーリーを伺いました。
横尾 健太
1982年生まれ。福岡県出身。本格派の博多豚骨ラーメンを提供する高円寺の名店「ラーメン健太」の店主。2023年7月に明星食品からカップ麺「明星 ザ・バリカタ55 ラーメン健太 ねぎ豚骨」を発売。2024年5月には全国にチェーンを持つ「らあめん花月嵐」とのコラボレーションメニューを展開している。
デザイナー志望の学生時代から人気ラーメン店の店主になるまでの軌跡
── 今や行列をなすほどの人気店「ラーメン健太」。もともと健太さんは、学生時代から飲食業界に進もうと決めていたんでしょうか?
健太:いや、地元福岡でデザイナーになるために、アパレルの専門学校に通っていて。当時セレクトショップが流行ってて、格好良く見えたんよね。服が好きというよりかは、格好つけるのが好きだった。でも結局、服飾の細かい作業は向いてなかったけん、それで知り合いに誘われてラーメンの屋台で働き始めたんよ。それが21から23歳くらいまでかな。もともとラーメンは好きやったしね。専門学校の裏に「元祖長浜屋」があってよく行っちょった。
── それからどんな経緯を辿って東京に?
健太:単純に東京に行ってみたくて上京したんよ。高円寺に高校の同級生が住んどったけん「ちょっと泊めてや」って言って。それで早稲田通り沿いの物件にラーメン屋の居抜きがあってさ、「ここで店をやらないか」って誘われたから店を始めた。そこで8年間おでんとシメのラーメンをだす居酒屋やって。当時はラーメン一杯500円やったな。
── そして現在の「ラーメン健太」のあるあづま通りに引っ越した。
健太:そうね。ここに引っ越してもう10年ちょいかな。当時は前身の店と同じで夜に営業する居酒屋だった。店の中に福岡から持ってきた屋台をいれとったんよ。そのときもラーメンは提供してたけど、ラーメンだけを食べに来る客はおらんかったね。ラーメン専門店になったのは、コロナ渦で暇やったけん一週間、福岡の“くさウマ”が売りの「駒や」に修行に行ったのがきっかけ。働きながらラーメンのことを教えてもらって。それがきっかけでラーメンの味が変わったね。旨み重視のシャバシャバスープになった。より本場の味に近付いたね。
── 居酒屋時代と比較すると生活も変わったのでは?
健太:起きる時間は全然変わったね。でも、ラーメン屋ってとにかく朝が早いイメージがあるけど、この店は10時に入れば間に合う。同業の知り合いからは「健太は仕込み大変やろう」とか言われて「やっぱり3時間はいるねー」とか調子合わせとるけど、実はダッシュでやれば2時間でできる。継ぎ足してるスープが沸くの待ちっちゅう感じやね。
カップラーメン化で全国展開。営業を終えた後は“旨い飯”に癒される
── ラーメン専門店として形態を変え、瞬く間にラーメンファンの間で話題となり人気店の仲間入りを果たした「ラーメン健太」。カップ麺化し、全国展開されたのも記憶に新しいです。
健太:カップ麺が販売された当初は、店にカップ麺を持ってきた人にお湯を入れるっていうのを期間限定でやったんよ。余ったカップ麺のスープで替え玉も無料提供して。そしたら、「今日無料で食べられるんだ」って勘違いしたお客さんも並び出しちゃった。皆急いでカップラーメン買いに行ってたよ。だからか、この店の前のファミリーマートが日本一売れたみたいね。
── 忙しい営業を終えた後はどうリフレッシュして英気を養っているのでしょう。
健太:だいたい高円寺に飲みに行きよるね。皆「健太さん良く飲むから」って言って濃くしてくれるから、2、3杯飲むと訳わからんくなる。これは水なのかロックなのか……まあ、最終的には水でもしっかり酔えるけんね。あとは、やっぱり旨い飯発見したらアガるかな。ラーメン以外でも、定食も洋食も中華も何でも好きやね。最近は方南町の「や志満(しま)」っていう中華のチキンライスが旨くて連続で行ってる。塩対応の店とかも全然めげずに行くね。むしろ好きやな。
ラーメン店にサマータイム導入。身体を仕上げて海に通う日々
── 夏の時期は営業時間を早めて“サマータイム”を取り入れたのだとか。
健太:そうそう、できるだけ毎日海に行きたくて。店を14時半に閉めて16時15分の電車に乗れば17時半には逗子に着くんよ。馴染みの海の家の盛岡冷麺が旨くて、それ食べてビール飲んで泳ぐ。で、20時に出て22時くらいに戻ってくる。それを夏の間は毎日やってた。たまに浮き輪持って娘も連れていったりもしよるよ。
── 夏が好き?
健太:夏生まれやけんね。日サロにも通ってたし、Youtubeの動画見て夏に向けて体も仕上げてた。「3分でバキバキ」ってやつを1日に1セット。探してみたら「2分でバキバキ」もあったよ(笑)
── 夏にかける想いが強い。
健太:浴衣も買ったしね。もともとは娘の浴衣を見に行ったんやけど、店員さんに「男物もありますよ」って勧められて、一応着させてもらったら「うわー! かっこいい!」って言われて買っちゃった。娘の浴衣は手頃な値段やっけど、俺の浴衣がえらい高かったわ。それ買ったら次は雪駄が欲しくなって、店を「用事があるんで閉めます」って休みにして浅草に雪駄を買いに行ったんよ。「この店で一番粋なやつをくれ」って言って。聞けば、踵が出れば出るほど粋らしくて、ほとんどつま先で履いてる。ちなみにそれが5万。俺の他のどの靴より高いね。
仕事でストレスを感じることはない。そもそも仕事という認識がない
── 公私共にかなりアクティブに活動されてますよね。聞けば、今度バンドでのライブも控えているのだとか。
健太:そうそう。高円寺で店をやりよる人と組んでる。年に一回ライブしていてけど今回で4回目になるね。バンド名は「高円寺連合バンド」っていうベタな名前やわ。今回のライブは俺が歌詞を書かないかんのよ。まだ何もできとらんっちゃんね、なんせやったことないから。でも皆真面目やけん、夜の0時にスタジオに入って朝の6時まで練習したりするよ。皆は夜から営業やから良いけど俺は昼からやからへっとへとなんよ。
── それから通常営業をする。
健太:そう。まあ、でも身体が疲れることはあるけど、気持ちが疲れることは滅多にないね。そもそも仕事でストレスを感じることがない。仕事だと思うから疲れるけど、これが自分の生活の一部だと思えば疲れないんやろうな。
── 「ラーメン健太」はお客さん自体もリテラシーが高い印象があります。皆さん、お店ファーストの考え方をされているというか。
健太:うん。居酒屋時代はきてたけど、今はクレームもまじでこんな。この前もレンゲがパクられたりしちょったけど、まあレンゲはまた買えばいいし。店でストレスを感じることがないんよな。
── 天職ですね。
健太:そうね、他やったことないけど。どんなに並んでても提供する杯数80から90で、毎日一緒やからかもしれん。週末は100いけばいいかなくらい。たまに「店舗増やさないんですか」とか「営業時間伸ばさないんですか」とか聞かれるけど、多分やらんと思うわ。
Writer
いちじく舞