1990年生まれ千葉県出身。フリーランスのライター・編集者。とうもろこしと大学いもとものづくりが好き。最近はレーザーカッターを使ったアクセサリーをつくるのが楽しい。
2024.07.30
リモートワークという働き方が定着した昨今、自宅でオンオフの切り替えが必要な人も多いのではないでしょうか。もしかしたら、一人で過ごす時間が増えて、自分との対話が増えた人もいるかもしれません。今回お迎えしたのは、インフルエンサーとしてメディアに出演する傍ら、フリーランスとしてライターやマーケターの活動をするくつざわさん。自宅で仕事をするようになってから、時間の使い方を見直す機会を設けたのだそう。そこで、自身の大切なものがよりクリアになったのだとか。そんなくつざわさんに、現在のライフスタイルに辿りつくまでの道のりを伺いました。
くつざわ
1999年生まれ。千葉県出身。2018年にX(当時Twitter)に投稿したあるある系動画が広く拡散され、3日間で5万人のフォロワーが増加。現在はフリーランスとしてライターやマーケター、動画クリエイターとして活動している。
発信する前に考えるのは “今やっていることが黒歴史にならないかどうか”
── 現在は出演者としてのお仕事だけではなく、制作側のお仕事にも注力されているとか。
くつざわ:はい。以前からIT系の知り合いが多かったので、広い分野で仕事を受注して、周りと協力しながらサイト制作やSNS運用に携わっています。最近では個人でECサイトを作ってる最中です。
── 出演者と制作の2軸でキャリアを築いているんですね。
くつざわ:そうですね。それと、これからはもう一回SNSの発信に力を入れたいとも思っていて。今発信しているのは、数年前のネタ系の内容とは打って変わって、自分の暮らしについての投稿がメイン。「数年後見たときに黒歴史にならないかどうか」「投稿を通してどんな人に集まってきて欲しいのか」を考えながら発信をするようにしています。その部分さえ気を付けておけば、SNSは仕事に有効に作用すると思っているので。というのも、何を投稿してもある程度の反響が得られた数年前は、そこまで考えられていなかったんですよね。だから自分の首を絞めるようになった部分も多かったです。
── 発信内容を徐々に調整していったのでしょうか?
くつざわ:ネタ系の動画からいわゆる「エモい」動画の投稿が増えていって、現在に至る、という感じです。その間「前投稿していたような動画が見たい」や「そんな投稿するタイプじゃないでしょ」みたいな声も上がったりしたんですけど、将来的にSNSをどう活用するかを見据えることが、短期的なバズよりも大事だと思ったので、後戻りすることはしなかったですね。
── フォロワーが急増した時期のファンからは反発もあった。
くつざわ:はい。といっても、ネタ系の投稿をしていたのって実質4ヶ月間くらいなんです。でも、それでバズってフォロワーが増えたから当時はその印象がなかなか抜けなくて。今ではフォロワーの層も変わって、昔の投稿を知らない方もいたります。やりたいことと発信内容が一致してきた感覚がありますね。
自分が大事にしていたのは生活の中にある情緒や感性だった
── 以前は、SNSでの発信を通して悩むことも多かったのでしょうか。
くつざわ:数年前って「好きなことで生きていく」という風潮があったじゃないですか。でも私の場合、それまで熱中してきた趣味もなかったし、自分が何を好きかも把握できていませんでした。その状態でSNSを主軸に活動していたから葛藤することもありましたね。
── 現在、その葛藤は解消された?
くつざわ:改めて自分を見つめ直してみたら、私は生活の中で情緒を感じる時間や、生活を彩るものを大切にしているんだと気付いたんです。例えば、夏が終わって秋の匂いを感じたり、七夕に短冊を書いたり、雨の日にてるてる坊主をつってみたり。そういう、暮らしていくうえで感性を養うことが好きなんだと思いました。それが今のSNSの発信内容に通じていますね。
── くつざわさんのXを拝見してると凝ったお料理をよくされている印象があります。
くつざわ:自炊はよくしますね。季節のイベントに合わせて料理したりもします。時間をかけて料理をするのも好きで、この前はスーパーでラムを調達してビリヤニをつくったりもしました。
── そのほかの投稿を見ても、ご自宅での時間を大切にされているのが見て伺えます。
くつざわ:家で仕事をする時間が増えたのも大きいかもしれません。作業するのは、だいたいこの窓際の机です。座っちゃえば集中できるんですけど、座るまでが長くて。スイッチの切り替えは、コーヒーを淹れることですかね。仕事をするときにしかコーヒーって飲まないので。
── 窓から街を見渡せるのがいいですね。
くつざわ:そうなんです。夜になると間接照明と街灯りだけでリラックスして過ごしたりもしていますね。見下ろすと川が見えるのも気に入っています。ちなみに、ジョアは窓から走る電車が見えると喜んで眺めてます。
欲望を優先すると時間はあっという間に消費されていく
── ご自宅でお仕事をするうえで心がけていることはありますか?
くつざわ:仕事としてやることと、ライフワークとしてやりたいこと、その両方の時間を捻出しなくちゃいけないのでスケジュール管理に気を配るようになりました。演者として活動していた時期は、自分のなかでの優先順位を考えずスケジュールを立ててたので、本来大切な家族との時間もなかなかとれなかったんです。自分の欲望だけを叶えていると時間ってあっという間に消費されてしまうんですよね。今は、自分が何を大事にしていきたいのか、どんな時間が減ると自分が楽になるのかを考えながらスケジュールを組むようにしています。
── 現在はご家族との時間も大切にされているくつざわさん。家族の一員でもあるジョアくんはくつざわさんにとってどんな存在ですか?
くつざわ:本当に愛おしくて仕方がない“我が子”という感覚です。常に生活の主軸にジョアの存在がありますね。私は仕事とか友人とか色々外の世界を持ってるけど、ジョアにとっては私しかいないんだよな、とつくづく考えるようにしています。実家で飼っていた子をなくしたときに「もっと一緒に過ごしてあげたら良かった」と強く後悔したので、もうそんな思いをしないようにたっぷり時間を使ってあげたいと思っていますね。
── ジョア君とのお散歩は、エネルギッシュな時間になりそうです。
くつざわ:毎日一時間以上は散歩しています。かなり大変ですが、一時間スマホを触らない時間は貴重だとも思っています。運動にもなるし、頭を空っぽにできるのでリフレッシュにも繋がっていますね。
── 身体は疲れるけど同時に活力をもらえる時間でもあるんですね。それ以外に、自分を癒すためにしている習慣はありますか?
くつざわ:やっぱり、何も考えない時間を意図的につくるようにしています。最近始めた陶芸も、目の前の作業だけに集中できるのが好きでハマっていますね。あとは、中学生の頃からつけている日記も毎日の日課です。たまに読み返して、「この時期はこんなことで悩んで泣いてたりしてたけど、今こうやって普通に生活できてるんだから、今後新たな悩みが生まれてもきっと乗り越えられるんだろうな」と励まされたりしていますね。実はもう少しで引っ越す予定なんですが、次の家もこの部屋同様日当たりのいい部屋なんです。そこでもジョアとリラックスできる空間をつくっていきたいですね。
Writer
いちじく舞