1日のなかに「やるぞの気持ちを高める時間がある」。ライター野田せいぞの「日常のなかにあるリラックス」
Writer:山口 真央 / Editor:サカイエヒタ / Photo:梶 礼哉
1日のなかに「やるぞの気持ちを高める時間がある」。ライター野田せいぞの「日常のなかにあるリラックス」

どんなに忙しい日々でも、わずかに生まれる「スキマ時間」。本連載『みんなのスキマ時間』は、忙しそうな「アノ人」のスキマ時間の過ごし方を聞いていく連載です。

今回登場していただいたのは、ライターの野田せいぞさん。肩書はライターですが、彼のお仕事はイラストやメディア出演など、多岐にわたります。毎日が大忙しの野田さん、と思いきや「僕、そんなに忙しくないですよ」と教えてくれました。独特な雰囲気を持つ野田さんの、スキマ時間の使い方をチェックしていきます。

ライター・野田せいぞの「スキマ時間」

野田せいぞのとある1日 - スキマ時間
ホワイトボードに1日のスケジュールを書き出していただきました


── 本日はお忙しいなか、インタビューをお受けくださりありがとうございます。

すみません、僕あまり忙しくないんですが大丈夫でしょうか。

── 1日のスケジュールはびっしり埋まっているように見えますが。

よく見てください、ほとんどが「のんびり」「気持ちを高める」「自分でもわかりません」などの時間です。

── たしかに、時間に名前が付いているだけですね。

起きてから「『やるぞ』の気持ちを高める」時間がある

やるぞの気持ちを表現する野田せいぞ


── 朝は8時に「起床」とあります。

あえてカーテンを全開にして寝て、朝日で無理やり起きるようにしています。寝る時間がまちまちなので、この8時はあくまでも「理想」です。昼くらいまで寝ていることが大半です。

── 起きた直後は「のんびり」とあります。

今の季節は寒いので、ホットカーペットでゴロゴロしたり、コンビニにコーヒーを買いに行ったりします。

朝ごはんは基本的に食べません。僕にとって朝ごはんは「特別に用意されたもの」です。ホテルや旅館に泊まった時の朝ごはんが本物の朝ごはんですね。僕自身が用意して食べることはないです。朝はコーヒーだけです。

── コーヒーがお好きなんですね。

とても好きです。だけど、カフェインの摂り過ぎはあまりよくない気がするので1日1杯だけって決めています。だからその1杯をめちゃくちゃデカくしています。

── 1杯の量を多くしたらそれは2杯、3杯飲むのと変わらないのでは?

その通りです。しかし、量はともかくコーヒーのSサイズもLサイズも全部「1杯」です。ペットボトルコーヒーもなるべくデカいものを買います。僕にとっては「1杯」であることが重要なんです。

── この「『やるぞ』の気持ちを高める時間」というものは?

メールとかやらなきゃいけないことを眺める時間です。

メールをチェックする野田せいぞ


── 眺める時間?

それらを眺めて「やらなきゃな」と思う時間が大切です。メールを返した自分はどんな気持ちになっているのか、返さない自分はどんな状況になるのか。そんな自分を思い描き、「やるぞ」という気持ちを高める時間です。

「やるぞ」の気持ちが高まったころ、ランチ

キッチンのスキマにはさまる野田せいぞ


── 『やるぞ』の気持ちが高まりました。次は?

ランチですね。

── 気持ちが高まった状態で仕事に入るのかと思いました。

気持ちが高まった頃、ちょうどおなかが空いてきます。
昼は結構がっつり系を食べに行きます。近所のラーメン屋、とんかつ屋、ケバブ屋をヘビロテしています。

── 昼にがっつり食べたら眠くなりませんか?

おっしゃる通り血糖値はとても上がります。そこで、ランチ後はまた「のんびり」の時間です。お昼寝をしちゃいけないと布団を畳んだり、絵を書いて気を紛れさせたり。また、遠くの景色を意識的に見るようにしています。この習慣のおかげで視力は2.0あります。

急ぎの仕事を片付けたら、「人生について考える」

キッチンのスキマからの野田せいぞその2


── その後、「急ぎの仕事を片付ける」とあります。

この時間になると「〆切そろそろですがいかがですか?」とクライアントさんから催促の連絡があるので、それを片付けます。その後、人生について考えます。

── 具体的にどんなことを考えますか?

もうすぐ30歳になりますが、これからどうしようかな、とか、来月支払えないな、とか。
自宅の風呂や銭湯で考えることが多いです。

お風呂場のスキマにはさまる野田せいぞ


── お風呂で考え事をする方は多いようですね。

一番脳がフル回転している時間がお風呂の時間です。お風呂にいる間はさまざまな思考が渦巻いています。「来月の支払いに間に合わせるためには、もっと仕事をしなければいけない」など考えています。

野田せいぞの「ポスト」はその場で作っている

── 野田さんはXで毎晩面白いポストをしていますね。ネタは日頃から貯めてるのでしょうか。

あれは毎晩自分で作っています。作ってすぐに投稿しています。
ネタが思いつかない場合は、色んな言葉が延々と流れてくるサイトを眺めながら、どんな投稿が面白いかな、と考えて作ってます。だから投稿後すぐに見てくださっていたら、それはできたてほやほやの投稿なんです。

Xの投稿案を考える野田せいぞ



── 夜のリラックスタイムは何をやっていますか?

iPadで漫画のネームを考える野田せいぞ


絵を描いていることが多いですね。最近は、記事で使う漫画のネームを作っている最中です。意外と「絵描くの疲れたから好きなもの描こう」にはならないタイプで、イラストは宿題に近い感覚でストイックに描いています。

「夜の仕事時間」こそリラックスタイム

キマってる野田せいぞ


── ところで、野田さんが一番リラックスしている時間はどの時間ですか?

深夜に急かされながら仕事をしているときでしょうか。

── それはリラックスできているのでしょうか?

夜の作業時間は動画を流しながら作業したり、コンビニでスナック菓子を買ってきてつまみながらやったりと、結構「悪いことしている時間」なんです。イラスト仕事のときはお酒もちょっと飲んでみたり。そのほうがふわふわしてうまくいくことがある。

僕の創作物は、堅苦しいものではありません。読む人がクスッと笑えるようなコンテンツです。そんなコンテンツが、「ちょっと悪いことしている時間」に生み出されていることが良いのです。

── とはいえ、仕事中はやはり気が休まらないのでは。

先ほど「のんびりタイム」や「やる気タイム」などたくさんのスキマ時間がありましたが、ああいった時間は実際には仕事をしていないので、むしろ自分の中では「焦っている時間」なんです。「あれもやらなきゃいけないのに、自分はなにをしてるんだ」と、本当はヒリついている。

しかし仕事をしている時間は、やることをちゃんとやっているので、焦る必要がない。だから仕事の時間こそ救われた気持ちになります。
つまり、本当のリラックス時間って仕事をしている時間にあるのかもしれない。これは最近気づいたことなんですけどね。

── 金言ですね、とても参考になりました。

野田せいぞとston
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Writer

山口 真央

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